【うさぎ】「葡萄一粒」
こんにちは。アンです。
「あ!!」
『あ・・・ ごめんなさい』
「・・・ブドウ」
『あ! これ・・・ください』
『あ! これ・・・ください』
「ひとつ・・・でいいの?」
『・・・・はい』
『・・・・はい』
「あなたがたべるの?」
『・・・・』
「あげたいひとがいるんだね」
『・・・・』
「もうひとつもっていく?」
『え、でも・・・』
『え、でも・・・』
「あなたも食べてみる? おいしいよー」
『・・・え、でも』
「その一粒、食べてごらん」
『・・・・おいしい』
「おいしい、幸せ?」
『はい!』
「その気持ちと一緒にもう一粒持って行って、あなたの大切なひとのもとに」
うさぎの瞳は一粒の葡萄と同じ色をしている
紫味の色に何重にも紺色を塗り重ねたよう
限りなく黒く 暗い
葡萄のしずくが
深海のように深いうさぎの瞳に
淡くやさしい光を届けた
そっとしまっておいた自分の感情
ゆっくりと とけだしてゆく
大切な人を思うばかりに 自分の感情を置き去りにしていたうさぎ
ゆっくりと とけだしてゆく
大切な人を思うばかりに 自分の感情を置き去りにしていたうさぎ
あなたが幸せを感じることを
あなたは願っています
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